ワーキングメモリー酷使

昨日謡稽古に行って参りました。

 

現在「橋弁慶」という超入門レベルにいます。入門という気がしませんね。。(汗)

 

毎日筋トレしながら前回までの録音を聴いているだけあって、「風すさましく」の前まではお師匠笑顔の合格。全て暗記していたので、役柄に徹しました。

 

ところが「風すさましく」以降は、いつものようにダメ出しのオンパレード。「これに合格しないと先には進めません。」という厳しい宣言があり、30分悪戦苦闘の末、やっと合格をいただきました。

 

前回から引っかかっていた部分は「風すさましく更くる夜を」で、「夜を」の「よ」と「を」は同じ音ですが、癖というか「を」がどうしても下がってしまいます。

 

「更くる」は中音の同じ音、「夜を」は低音で同じ音なので、「よを」「よを」の強化練習をしたらなんとかなるようです。

 

次の難所は「遅しとこそは待ち居たれ」という同じフレーズが二回続く箇所。

 

二番目の「遅しとこそは待ち居たれ」の「お」は中音から入り、「そ」は低音、「し」はしぃ、「こ」は中音から高音に上がり、「そ」はずっと低音と、常に進行中の作業を記憶しながら次の作業も考えておく必要があります。ここは注意力が勝負ですね。

 

次は牛若丸の描写部分。子役が高い声で歌うそうです。お師匠が徳永英明のような声で謡い和みました。😀 半音三個分ぐらいキーが高かったです。

 

最後の「夕波の気色はそれか夜嵐の。夕べ程なき秋の風」こちらもなかなかの関所。ぼーっと聴いていたらさーっと通り過ぎそうで、ワーキングメモリー酷使です。

 

「秋の」の「の」はスノーボードのように上がって下がってまた上がって下がってもう一回上がって下がって終わります。音は高音、中音、低音になります。

 

頭でわかっていてもやはり西洋音楽の十二音階の指示がないと暗闇に放り込まれたようです。バッハがあれだけたくさんの名曲を製造できたのも、十二音階のお蔭というのは納得です。

 

かなり生みの苦しみがありますが、最近少しずつ演劇の魅力が分かりかけてきたような気がします。能楽は特別な仕掛けなしで細かい感情を表現していくので、指示が細かいのは当然とも思います。

 

二胡をやっていた時なかなか上達しなくて、中国の先生に「京劇を知らないと伸びないよ。」と言われた意味が今ではよくわかります。

 

音楽も演劇もワーキングメモリーに頼るよりも役者の役柄に潜ろうと思います。

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